交通事故で肘に後遺症が!後遺障害の等級はどう決まる?

交通事故に遭って、後遺症が残ることは多々あります。残りやすい部位は首が代表的ですが、各関節に残ることも珍しくありません。労働力の低下が認められる後遺症が、医学的に交通事故のためだと証明され、加えてその度合いが自賠責保険の等級に当てはまる場合は、後遺障害と認められます。

中には、後遺障害と認められずに損害賠償請求できない人もいます。今回は肘に後遺症が残ったケースについて考えていきましょう。

交通事故で起こり得る肘の怪我

交通事故で負う肘へのダメージは、骨折か脱臼、麻痺が多いです。骨折では上腕骨遠位端骨折や橈骨頭・頚部骨折、モンテジア脱臼骨折、脱臼では肘関節脱臼、麻痺では上腕神経叢の全型麻痺や上位型麻痺、下位型麻痺が挙げられます。

上腕骨遠位端骨折とは、二の腕の肘に近い部分の骨が曲がるなどする骨折です。交通事故で地面に手をついたときに起こりやすく、肘が思うように動かせなくなる後遺症が残ることがあります。橈骨頭・頚部骨折は、前腕の骨の一つである橈骨の手首側や肘関節側の骨折です。

ここも地面に手をついたときに折れやすい部分です。大人は手首側、子どもは関節側が骨折しやすい傾向にあります。後遺症が残ると、肘の曲げ伸ばしが困難になることが多いです。モンテジア脱臼骨折は、前腕の骨の一つである尺骨が骨折した上に橈骨が肘関節から外れる症状です。

地面に手を強くついたときに起こりやすく、肘や手首の可動域が狭くなるといった後遺症が残ります。肘関節脱臼は言葉の通り、肘関節が脱臼する症状です。これも地面に手をついたときに起こりやすく、順調に治らないと肘関節の可動域が狭くなります。

上腕神経叢の全型麻痺及び上位型麻痺、下位型麻痺は、オートバイ事故で肩から落ちたときに発生しやすいです。神経根という首から出ている神経が引き抜かれると起こりやすく、手や腕の感覚に異常を来たしたり動かせなくなったり痺れたりします。

後遺障害の等級決め

交通事故に遭って治療をしたが後遺症が残った場合は、損害賠償請求が可能です。参考情報:事故の後遺症症状:弁護士法人アディーレ法律事務所

保険会社に請求を通すためには、後遺症を後遺障害と認めてもらうことが大切です。保険会社に請求する際は、自賠責保険支払請求書兼支払指図書と交通事故証明書、事故発生状況報告書が要ります。それから、医療機関でもらう診療報酬明細書及び診断書や後遺障害診断書、レントゲンやMRIなどの画像資料も必要です。

保険会社では送られてきた書類を損害保険料率算出機構に提出し、機構は公正な立場で資料を基に、後遺障害の等級を決めていきます。等級は14級まであり、分類される後遺障害は140種類と35系列あります。

この基準は労災保険の障害認定基準と同じです。まず後遺症がある部位で分類し、さらに障害が物理的か機能的かで分類、それによってどの程度労働能力が下がるのかを考えて、等級を決めます。系列が異なる障害が複数あるときは、重い障害を適用するのが一般的です。

それから、元々障害を持っている人が交通事故で障害が重くなった場合は、事故前の等級を事故後の等級から差し引いて計算します。

自分の任意保険も活用して

交通事故に遭ったとき、加害者側の自賠責保険からの保険金ばかりに意識が向きがちですが、自身で加入している任意保険からも保険金が出る可能性があるので、しっかりと確認しましょう。多くの任意保険にセットされている無保険車傷害保険は、自動車保険や対人賠償保険に未加入の運転者が加害者だった場合に保険金が下りるという内容です。

また、当て逃げやひき逃げなどの交通事故でも適用されます。この他、搭乗者傷害保険や人身傷害補償保険などもあります。搭乗者傷害保険は治療日数や怪我の部位によって金額が決められているので、それほど期待できる金額は下りません。

しかし、とりあえずの医療費には充当できるでしょうし、翌年の等級には影響しません。一方、人身傷害補償保険は、被保険者が交通事故の過失100%であっても保険金が下りるという内容です。どちらも保険会社によって内容が異なるため、よく確認してください。

後遺障害の申請はいつが良いか

後遺症が残った場合、加害者側の自賠責保険会社へ後遺障害の申請をするタイミングは、症状固定後の後遺障害診断書作成が済んでからです。申請は被害者が行う方法と、任意保険会社が行う方法があります。任意保険会社が申請するケースは、被害者に賠償金を自賠責保険分の金額も一括して払う場合です。

いくら被害者に支払えば良いのか調べるために申請するため、事前認定と言われます。後遺障害診断書は、必要な検査を徹底して行った後、主治医が症状固定と診断した際に作成されます。このとき、後遺障害の認定に対して知識が乏しい医師が診断書を作成すると、検査漏れが生じることがあるので、注意が必要です。

また、症状固定とは、このまま治療を続けても大幅に症状を改善できる見込みが極めて少ない状況を指します。この診断は医師によって個人差があります。それに加えて、任意保険会社から直接医療機関に治療費が支払われている場合、一定期間以降に治療費打ち切りになることは珍しくありません。

そうなると被害者に治療費をもらうことになるので、症状固定の時期が早まることは多々あります。

等級に納得が行かなかったら?

後遺障害の等級の通知が届いて、その結果に納得が行かない場合もあるでしょう。また、痛みが取り除けていないにも関わらず、等級に該当しないという結果になることもあります。こうならないためにも、主治医に後遺障害認定基準を考慮して後遺障害診断書を書いてもらうことが大切です。

医師の仕事は治療であり、適正な等級認定のための後遺障害診断書の書き方を熟知している人は少ないです。その上、後遺障害診断書は、怪我を治せなかったという結果表になるわけですから、書きたくないのが本音の人は少なくありません。

ですから、検査や記載に漏れが生じることがあるのです。ですから、被害者も必要な知識を持って、後遺障害診断書の作成をお願いしましょう。それが難しい場合は、弁護士に相談するのも一つの方法です。弁護士から主治医に説明することで、漏れを防ぎやすくなります。

それから、自分で申請して納得の行かない結果になった後でも、弁護士に相談して異議申し立て手続きを行うことが可能です。再度診断書を作成してもらい、後遺障害等級の認定をやり直してもらうことで、適正な認定結果になるでしょう。